■佐賀の家

住まいの省エネは結果であって目的ではない。いかに心地よく快適に過ごせるかである。省エネの方法は、通気屋根、蓄熱容量の大きな屋根断熱による天井温度上昇防止、大開口部によるダイレクトゲイン、西日遮蔽の徹底、夜間・留守中の防犯通風確保、設計時における通年日射確認、等々。
佐賀の夏は暑い。残念ながらパッシブ手法だけでは、限界がある。この家では1階床下に組み込んだ1台のヒートポンプ(壁掛けエアコン)によって全館輻射暖房、1階天井冷房を試みた。エアコンから室内に直接温風冷風を吹き出させず、1階2階の床を通して輻射冷暖房をしながら循環させている。間仕切りに関係なく1台のエアコンで各室を冷暖房できる。快適で省エネ、経済的な空調方法である。

■借景をいかす、西日対策:蔀戸
敷地の西側は、水路を隔てて隣家の緑が広がっている。それを借景として取り込んだ。問題は西日対策である。西側にサンルームを設け、木製ルーバーによる蔀戸(シトミド)を設置した。ルーバーの角度が変えられる簡単な仕掛けである。日差しを遮りながら風も視界も抜けることができる。

■戸外を楽しむ
1階は、吹き抜けとコーナーの大きな開口部のあるワンルームである。冬は食堂の奥まで日が差し込む。食卓から樹木の幹から梢まで眺めることができる、伸びやかな空間である。戸外は、奥行きのあるウッドデッキ、木陰でのんびり楽しめるスペース。

■台所からの眺め
カウンターキッチンの正面には、小さな飾り窓がある。窓先にはアオダモを植えた。夏の日よけだけでなく、春の新緑、秋の紅葉が楽しみだ。右手に見えるグリーンのストライプは、駐車スペース。

■駐車スペースの緑化
地方での生活は、駐車場は最低2台、来客のことを考えると3台分ほしくなる。これを舗装してしまうと夏の照り返しは相当なものだ。帯状に緑化して緑のスペースを増やした。

■図面(クリックで拡大表示)