■杉並の家





できるだけエアコンに頼らないで、涼しいすまいをつくるには、緑の確保がポイント。草木に覆われた地面は、気温の上昇を抑え木陰は涼しさをつくります。春の新緑、秋の紅葉、冬は小鳥がやってきます。自宅で季節感を味わいながら、ゆったりと過ごすことができます。街の環境にも貢献する住まいです。

ガラスは、透明であっても室内と戸外を遮断してしまいます。緑を楽しむには、全開口が一番。建具が引き込まれると、庭の気持ちよさが室内に充満します。

大きな開口部の問題点は、断熱性能が低くなること。真空ペアガラス、木製サッシュ、引き込み障子で弱点をカバーしています。

障子のある空間
障子のすばらしさは、柔らかな明るさ。和紙によって拡散された光によって室内に落ち着きが生まれます。


灯り
照明のポイントは、明るさの質を考えること。全体を明るくする全体照明、手元や目立たせたいものを照らす部分照明、目的を分けて計画することが大切です。建築と一体になった照明計画は、家を豊にします。



記憶の継承
旧家の天井板と床柱、障子を再利用しました。床柱には、以前の長押の跡が残っています。家族の思い出がしみ込んでいます。古民家のような特別な材ではありませんが、家族の記憶を継承するためにあえて再移用しました。